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三つの懺悔 其の三 (無断で家を売り飛ばしてしまった事)
私のパートナーは良く出来た人か又は、亭主の操縦方が上手い人?、
私を怒らせるギリギリの所で比良璃と身をかわすので今まで余り大きな喧嘩をした事も無く
、又、余り私を責め立てた事も無い、そんなパートナーを絶句させた事が有ります。

事の起こりは、私の、無茶でした。
どんなバランスでも踊れる足腰を造ろうと、45キロの砂利バックを背負って練習して
腰を壊してダンスを辞めたのですが、それで一年間は黙々と勤め人をしたのですが、
元々独立指向の性格でしたので、ある時友人が今の仕事の話で共同経営の相談に
来た時に直ぐにソノ気になってしまいました。

それから数日後の夕食が済んだ食卓の上に多額の現金が有りました。
私 「今日家を売って来た。残りのローンを差し引いて残金がこれ、一週間以内に此処をでる」
奥さん 「・・・・・・・・・・・・・」 彼女は、私が何を言い出したのか理解出来ないようだった。

私 「仕事を始め様と思うので、その頭金の為に家を売って現金に替えた。これがソレ」
奥さん 「・・・・・・・・・・・・・・・」 一言の相談も無しに家を売ったと、言われたのだから唖然としていた。
漸くして事情が理解できて、明日から家が無くなってしまったことを納得した様だった。

でも彼女は怒りもしなければ責める事もしなかった。その夜一言も無いまま寝床について、
流石に普段は幾分脳天気気味で、三匹目の羊が出て来ない内に寝てしまう私が、
夜が白むまで寝付けず少しずつ後悔の念が湧き出きたて。

{この十年一緒に返済してきたのに、無断で売り飛ばしてしまい、もし事業に失敗したら、
等々、只家を失うだけになってしまい、二度と一軒家をもてなかったら?}
色々と考え朝まで、彼女の手を握ったまま朝を迎えた。
(事実 この時買い求めた土地は、家の建てられない国土法の指定地域で、、
結局詐欺で騙されていので、この時の資金は全て失った)

年月を経て彼女に聞いた事がある
私 「如何してあの時、怒りも、責めもしなかったの?」
奥さん「貴方は元々勤め人指向じゃないから、朝の勤めに行く姿が、自分に言い聞かせて
頑張っているのが見えて、気持ち解かるんで気の毒で,、其の資金で独立できるなら
其の方が良いかなって、それにそれ程家に未練なかったしネ」
腰を痛めての転職とは言っても、私は決していい加減に勤めたり,嫌々仕事に行った訳では
有りません。絶った一年の会社勤めでしたが、それなりに頑張りました。それが証拠に、
勤めて一年経つ頃には、取引先から好条件の引き抜きが来てました。

でも彼女に言わせると、
「一緒になって三十数年、色々あって、転職、詐欺、分裂、倒産、子供を連れての
その日暮らし等、大変な事はいっぱい有ったけど、その時々で別に何も思わなかった。
だけど、今でもあの時の一年間は、朝行ってらしゃいと言うのが、貴方が
頑張っているのが分るだけに、本当の気持ちは、違うだろうにと思うだけに、
“可哀想なくらい気の毒だった”

でも家を、“無断で売り飛ばしてしまった事は”、別問題で懺悔しなさいと、要求します。
私 「反省してます。若気の至りで後先見えずに行動しました,。」でも、その答えに

奥さんは「その事を、除けば、山、有り、谷、有りで、三十数年間、御蔭で面白かったワ」と、
言っています、やはり、私は、お釈迦様の、手の平で飛んでる孫悟空でしょうか?