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木島平ダンス合宿の宿、ちきちきばん。

 

いよいよ木島平も初夏の香りがしてきました。戦争のような合宿シーズンが始まるまでの約二ヶ月をどれだけ現実逃避できるによって、その年の合宿シーズンの成否が決まってきます。

もちろん、現実逃避の度合いが激しさとシーズン中のもろもろお客様への対応、サービスの質の低下は如実な相関関係がある気がするので脳内妄想の桃源郷に浸るのも程ほどにしないといけません。そうは言っても、家の隣の荒地を開墾して作っている畑のほとりに、スギナが生えてくるとそれを懸命に食むヤギの姿を思い浮かべたり、スギナ根絶のために鍬を地中深くまでつきたて、根っこが切れないように一本一本掘り出す作業を始めると気がつくととっぷりと日が暮れていたりするのです。

後に残るのはスギナ駆逐に熱中するあまり、気がつけばヤギに踏み荒らされた畑と塩が浮いたシャツ。そして軍手のラインを残して真っ黒に日焼けした腕。途方に暮れながら家路につく寂しい背中を、春とはいえ苛烈さを増してきた西日は容赦なく照りつけ、残された一握りの気力さえも焼き尽くしにくるのです。そして口にするひとかけらのハッピーターン。人間が土と向かい合いながら生きるというのはたぶんこういうことなのです。以上妄想終了。

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まだ猫の額より小さい私の額のようなみすぼらしい畑。そりこみが入っていないだけまだましです。小さい小さい畑ですが、ここには私の壮大な野望と人類存続のための重要な鍵が隠されているのです。いうなればゲーティアの小鍵といったところか。奥のほうに穢れなき純白のヤギたちとなんだかよく分からない赤い物体がいます。白と赤で何だかめでたい感じです。

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夕日の中うつらうつらする産まれたばかりの子やぎちゃん。まわりに生えているのは葉っぱだけかじられた哀れなイタドリ。

昨年から畑を始めてみると、今恐ろしい植物が跋扈していることを思い知らされます。そいつはこれ

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葛。クズ野郎の語源となっているかもしれない厄介もの。こいつがとうとう畑のそばに顔を出し始めてまいりました。今ヤギの柵が張り巡らされているあたりは昨年までクズの一大群生地になっていまして、到底人間の入れる領域ではなくなってしまっていました。それをひと夏の間に完全に駆逐したのが一匹と半分のヤギ。それでもまだ地中に残っている根は再び地表を侵し始めてきたのです。

ちなみにマメ科の植物なのでヤギの大好物。あいつら豆科は見境なく食べます。ギャルを見かけたチャラ男のごとく。見かけるとわれを忘れてむしゃむしゃと喰らいつきます。対岸にクズの群生が見えたら、五メートルくらいの川だったらいともたやすく飛び越えるんじゃないかと。ヤギだったら。

が、まあ畑のほとりのクズは生体環境兵器、ヤギは使用できません。畑ごとやきつくされます。一本一本手作業で処理していくしかないのです。クズの根は恐ろしく深く、太い。鍬を何回も打ち込み、根元の部分をのこぎりで断ち切ります。ひとつ処理するのにも結構な手間がかかるので、あせらずじっくりと取り組まないと気がおかしくなりそうです。心を無心に、大地をうがつ。まだ暑さが本格的になる前のこの時期を過ぎると、女装、じゃなかった除草作業なんぞやっていられなくなるのでこの時期が勝負な訳であります。そんなわけで初夏のちきばんは一日が終わっていきます。