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自分の悲劇は、他の人から見れば、喜劇 (これを、読む人は、状況を、想像して下さい)
長い事ダンス教師をやっていたが、ある時機男性の教師が皆辞めてしまい、H先生と私だけで
女性の入会者を担当していた事がある。その為どうしても私の受け持つ人が多くなるのは、
仕方の無い事だが困ったことも起きた。

私は、背丈が165センチ位だから競技選手になるには、一寸身長が低く、プロに成るのを
躊躇したのは、試合に出ても大きい人の脇の下を潜って踊っているような状態だったからです。
普通入会した人は、身長又は技術に会わせて、担当の教師を決めるのですが、この時機は他に
男性の教師が居ないので、ほとんど私が担当する事に決っていたようなものでした。

そんな時です、Fさん、と、Sさん、が入会したのは、Fさんは172センチ、Sさんは168センチ、
今では結構背の高い女性もいますが、今から四十年も前の170センチ前後の女性は可也、
大柄の女性です。 でも担当するのは私しか居ません。 覚悟を決めました。

入会しても、最初のチケットが終わって止める人、一通り初心者コースを覚えて止める人、
そこらあたりで大体の人が来なくなります、それから後も続く人は教師と相性が良くて、
趣味として、その人の気質にダンスが会う人ですから、かなり少なくなります、

だから私は彼女たち二人も初心者コースまでと思ったのです、所が悲劇はその一方的な、
私の思い込みだったのです。彼女達二人は、初心者コースが終わる頃にはダンスシューズを
買い求めたのです。私の事も考えずに、170センチ前後の二人の女性がです。

彼女達が、8センチから、10センチの、ヒールのダンスシューズを履いたら、私には脅威です
Fさんは学生時代バレーボウル、Sさんはハンドボウルの選手で、共に年齢は二十五歳位です
ですが、運動を止めた為に、ウエートが増えて身体の周りに、タップリとお肉が付いて来た訳で、
今で言うと、スポーツジムの替わりにダンスに来ているのです、

だから初心者コースなど関係なかったのです。二人共鍛え上げた身体にタップリと、お肉を、
付けているのです 「先生理屈より動きましょう」 これが彼女達の希望です、おまけにスポーツ選手
だった二人は意気投合してしまい、週に二日、同じ日に一緒にレッスンに来るのです。

彼女達のレッスンをしていると、口の悪いT子先生は「ナベオ ジャイアント1号、2号のレッスン日」
とか言いますし、笑い上戸のゴロ先生などは教師の控え室へ駆け込んで、、笑いを噛み殺して、
私が控え室に行くと「先生が彼女達と踊っていると大木に、しがみ付いてる蝉みたいヨ」
もう笑いが止まりません。

ここで想像してください、私は身長が低いので教師に成った時、六十二キロ有った体重を、
コロコロしていては、動きも切れも悪いと、五十二キロまで減量しましたので男としては、
可也小柄になります、それがダンスシューズを履けば175センチから180センチの
お肉のタップリついたスポーッ、ウーマン、と踊るのです、{大変だと思いません?}

もう、大変なんて通り越してます、ダンスのステップには、絵になると言う意味で、
ピクチャーポジション、と言って、皆さんが使うステップで、オーバースエイ、セームフットランジ、
デベロパ、ヒンジ、ハイホバー、等々、色々有りますが、所がこれが問題なのです。

彼女達の足の長さにヒールがプラスされます、その上お肉のたっぷり付いた彼女達を
ピクチャーポジションにするには、私の手の長さも足りません、その為、
ピクチャーポジションが絵に成りません。私の感覚では、顔も目線も豊かなバストか
お腹のあたりに、有るような、気がするのです。正に「大木に、しがみ付いた、蝉」名言なのです、

でも彼女達は、私が、腰を壊して止めるまで、ダンス—運動に来てました。
途中で背の高い教師も入れましたので「担当を替わろうか?」と彼女達に尋ねましたが、
彼女達二人は「良いです、私達は先生で替わる気は有りませんからネ!」そして、私は
引き連れられる様にして二人のレッスンを続けました、まるで闘牛場へ行く牛の様に
そうです、雄雄しく、格好の良い、闘牛士は、彼女達二人、追い立てられる牛が私です。

でも本当は教師としては嬉しい事なのです、始めに書いた様に、長く続けて来ている人は、
とても教師と相性が良いのです、私は彼女達二人に、身長の差よりそれを埋めて余る程、
信頼されて気に入られてるわけですから。 教師としては喜ぶべき事なのです
でもーーーーー「私の悲劇は、他の人から見れば喜劇」に変わりは有りません